ただ眠いんだ

"人生はコメディだ!"

それはまるで見世物小屋のようで

とあるゴシップ週刊誌がある俳優の薬物使用疑惑を報じた。それだけならよくあることだ。
ところが、ゴシップ週刊誌は俳優の性的指向まで報道。その結果俳優は芸能界の引退を発表した。よくあることではなくなってしまった。

ここで大きな問題なのは、ゴシップ週刊誌が性的指向をわざわざアウティングしたことにある。


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ゴシップ週刊誌の記者やその周囲の人々が世の中のことに疎いというのは、もはやわざわざ言うまでもないとは思う。だとしても、アウティングにより若者が自らの命を絶ったことが数ヶ月前に報道されたことを知らない。ということはさすがにないだろう*1

その人にとって知られたくない、そして大切なことを、薬物使用疑惑と並べて書いてしまうその無神経さには本当に感心する。誰も止めなかったんだろうか。
ゲス不倫ってレベルじゃねーぞ。

そもそも薬物使用についてだけの記事であれば、あれはスクープだったのである。
「あの俳優が薬物を使用していたのは事実である」という立場で考えると、あれはちゃんとしたスクープだったのだ*2
元所属事務所が「薬物陰性」の証拠として挙げた尿検査は、コカインの場合では最後の使用から一週間ほどで検出されなくなるものである。現行犯に近い形ですぐに実施するなら証拠となり得るが、今回の場合では説得力に欠け、疑惑を払拭するには至らないだろう。確実と言われる毛髪検査に踏み込まなかったのも若干の謎がある。
さらには音声による証拠まであるというのだから、かなりのスクープとだったいっていいだろう。

ところがアウティングにまで手を出したことで、スクープは地に墜ちた。俳優に引退する口実を与えてしまった。一部報道によれば国外に脱出したらしい。もう真相は闇の中だ。
残ったのは「ゴシップ週刊誌にアウティングされた結果、ひとりの人生が大きく歪んだ」という事実と、世間からの強い風当たりだけだ。

逆に「あの俳優が薬物を使用していたのは冤罪である」という立場で考えると、それはただ単にゴシップ週刊誌の誤報、そして無神経なアウティングによってひとりの人生を歪めた…という話である。

薬物使用の真偽がどうであっても、あのアウティングがプラスに作用することなんてなにひとつない。


ゴシップ週刊誌の報道を見ていると、いつも見世物小屋を思い出す。
「日常」とか「普通」とされるものと違う人や物を「見世物」として人々に見せて興業とするものである。あまりにも露悪的であるということから、時代の波に消えていった見世物小屋であるが、ゴシップ週刊誌の報道というのはこれにそっくりだ。いや、「報道」という錦の御旗を掲げている分だけタチが悪いのかもしれない。
そして、見世物小屋の客というのは「普通の人」なのである。

*1:一橋大ロースクール生「ゲイだ」とバラされ転落死 なぜ同級生は暴露したのか - BuzzFeed

*2:ネット上で盛り上がってる「あれは薬物でなく知育玩具で遊んでいたのだ」という言説はむしろ失礼じゃね?冗談で言ってるんだと思うけど