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インターステラー感想

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そういえば前に見たけど感想を書いてなかった『インターステラー(2014)』について。

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クリストファー・ノーランが監督を務めたSF映画であり、滅亡しそうな人類と、移住できる星を探す開拓者…という、SFの王道と言えるようなストーリーだ。
でも、王道のSFでありながらハリウッド映画のお約束を守らず、しかしハリウッド映画のテイストはあり。
そしてノーラン映画にお約束のビックリするほどの情報量がある脚本を、圧倒的な映像に乗せてぶつけてくる…『インターステラー』はそんな映画なのである。

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あらすじ

近未来、人類は滅亡の危機を迎えていた。人類の疲弊っぷりはすごいもので、軍すらも機能を停止している状態。なんとか食べ物を生産して生きながらえようとするものの、植物は謎の疫病により枯れていく。おまけに異常気象によって頻繁に砂嵐が起こり、町は砂だらけ。日常生活を送るのがやっとという状態であった。
元宇宙飛行士のクーパーは義父と息子トム、娘のマーフと農業を営んでいるが、近隣の畑でも疫病が発生するなどピンチに陥っている。そんな中で、マーフの部屋の本棚から度々本が落ちるという怪現象が発生する。
非常に大きな砂嵐が襲ったある日、マーフは部屋の窓を閉め忘れてしまうが、床に積もった砂がバーコードのように縞模様を作っていることに気がつく。砂の縞模様は重力の異常によって作られており、その暗号の示す座標へ向かったクーパーとマーフ。2人が着いたのは解体されたと思われていたNASAの秘密の拠点であった。

NASAは、土星の近くに発生したワームホールを通り、別の銀河で新たに住むことができる惑星を探索する「ラザロ計画」を進めていた。すでに何名かを送り込んでおり、その内3名がそれぞれの星から信号を送ってきているのだ。
彼らを救助し、新たに住める惑星を探すミッションに選ばれたクーパーは、マーフの反対を押し切り、腕時計を渡し、「必ず戻ってくる」とだけ伝えて飛び立つのであった…

ノーラン的情報量

できるだけ短くあらすじであったり、必要な情報をまとめてみたつもりではあるのだけど、いや、長いわ。
クーパーと共に飛び立った3名の仲間の話とか、ラザロ計画のえらい人の話とか、他にも書いておくべきかな?というポイントはいくつもあるのだけど、泣く泣く割愛。
この映画はエンドロールも含めて2時間50分(=170分)あるのだけど、クーパーが飛び立つまでに40分。40分の内に上で書いたような出来事が矢継ぎ早に起こっていく。

クリストファー・ノーランの作品は、その多くがものすごい勢いで情報を供給してくる。『バットマン三部作』にせよ、『インセプション』にせよ、『プレステージ』にせよ、ぼんやり見ていると置いていかれる感覚がある。前提条件を懇切丁寧に教えてくれるタイプの映画監督ではない。
ところが、その前提条件を一度飲み込めてしまえば、どんどん波に乗って楽しんでいけるのだ。最初の飲み込みに全てがかかっているといえるのだけど、その情報量がリアリティーを生み出していっているのだ。

ハリウッド的であり、ハリウッド的でない

『インターステラー』のストーリー展開は最初に言ったとおり、ベタなSFである。滅亡の危機に瀕した人類、元宇宙飛行士がカムバック、新しく住める星を探す。お約束の展開だ。そして、ベタなハリウッド映画と言って多くの人が思い浮かべるのは、キスシーン、家族、爆発、裏切り、ヒーロー…
ベタベタなSFである今作にも、ハリウッド的お約束はある。家族愛的展開もあれば、愛に殉じようとする女性がいて、爆発もある、裏切りもあるし、クーパーはやはりヒーロー的である。

しかし、観た後に残るのは「ハリウッド映画じゃないみたい」という感想だと思う。お約束を守ると見せかけてお約束の枠外から飛び出していく。
たとえば、クーパーと一緒に飛び立った中に女性のクルーがいるとなれば、その2人がくっつくと思うじゃん?

SFらしいSF

衰退した世界を描いた映画でありながら、『インターステラー』は前向きな映画だ。
物語の終盤の「前に進むには、なにかを後ろへ置いていかなければならない」というクーパーの台詞を引用するまでもなく、この映画は非常に前向きなメッセージを発している。
閉塞感を打破するには、前に進まなくてはいけない。前に進むことだけが道を作るのだ。この映画にはそんなメッセージが強く刻まれている。

ブラックホール、ワームホールなどの描写にも、科学的な正確性を追求したCGが使われている。美しい映像によって宇宙への憧れであったり、探検への憧憬が呼び起こされる。没入感も大きい。170分と決して短い映画ではないけれど、あっという間に見終わってしまう。

ああ、これがSF映画なのだ。スイングバイを知らないようなNASAの人が出てくる映画とは格が違う。素晴らしい映画だと思った。