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ただ眠いんだ

When I'm in the middle of a dream...

ネットの「アレな人」集まってます : インターネット文化人類学

『インターネット文化人類学』という本を購入した。
この書籍は、インターネット、特にSNSが普及した現代において、人がどのように会話・行動をするかを観察し、「インターネット文化」に関して考察する…という、大変にアカデミックなものである。

SNSに関する事象が多く取り上げられているため、各章のテーマは「パクツイ」「炎上」などなど、身近なものであるが、その裏に潜んでいる人間の性というか、本質的な部分がつまびらかに明らかにされている、大変にスリリングな書でもある…

とまあ、それなりにそれっぽい事を書いてみたのだが、それは建前で、実際の内容は「インターネットのアレな人大集合!」である。

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著者の「セブ山」とは何者なのか?

この本は「セブ山」というライターの人が書いた本である。
どんな記事を執筆しているのかというと…

右腕をチャーシューにしたら世界はきっと君に微笑みかけてくれる

これがセブ山名義でオモコロで公開された最初の記事である。
わりと最近の記事では、

コンビニおにぎり「とり五目」の具材は、鶏肉と五目なのか?鶏肉も含めて五目なのか?

こんな感じの記事を出している。

そしてこのセブ山さんの記事で特に人気があるのが、「インターネットのアレな部分について実験・検証してみた」シリーズである。

母親はどこまで息子のTwitterを監視しているのか?

なぜ彼らはパクるのか? パクツイ常習犯が語るTwitterの闇

Twitterアカウントの親バレ・パクツイ常習犯の心情など、インターネットの「アレ」としか言いようがない部分を検証しているのだ。

中でも、一番話題になったと思われる記事はこれである。

【Twitter実験】つぶやきだけで個人を特定できるのか?

Twitterに書かれた情報だけで、個人を特定してみよう!という記事。学校の情報リテラシーの授業で使用されたこともあるとか。

本書の大枠はセブ山さんが今までに書いてきた、インターネットのアレな部分を検証した記事を加筆修正したものである。各記事の最後に編集後記というのも付け足されており、ネットで書けなかった・書かなかった部分や記事への反響をまとめてくれている。
ネット記事というのは「その後」が語られることが少ないし、公開された後の追記というのは限定的だし、追記に大切なことが書かれてもそれが拡散されることも少ない。それが見えるというのはなかなかおもしろいものである。

「アレな人」オンパレード

本書には様々な「アレ」な人が登場する。パクツイ常習犯・ネットに悪口を書く人・ゴルスタアイドル・チャットレディーをする人・どんな投稿にもいいねする人…
インターネットに生息する「アレ」としか言いようがない人達、多くはできるだけ近付きたくはない人達ではあるのだけど、インタビューと観察・実験によってその人々の一端が明らかになっていく。

承認欲求をお手軽に満たそうとしたり、調子に乗って炎上したり、お金のためだったり…そんな人間の欲求がインターネット上で爆発したとき「アレな人」が誕生してしまうのである。

さらには、ファン抱きだったり、いわゆるオフパコ問題などにも話は広がっていく。
そして、インターネットの薄暗い部分にガンガン切り込んでいく。そして勢いそのままに「セブ山」という男のゲスさも明らかに…

ネットリテラシー向上にどうでしょう

この本は高校生くらいのネットリテラシー教育に、ものすごく影響を与えるような可能性を秘めているのではないかと思う。

この本を読んで、インターネットやSNSに関して希望を持てるかというと、全然そんなことはない。「ネットにはアレな人しかいないのかよ」と思うこと請け合いだ。インターネットを辞めたくなるかもしれない。

でも、人は程度の差こそあるが、だいたいの人は「アレ」なのである。本書に登場する人々は、「アレ」な面がたまたまインターネットという部分で発現したというだけだ。
テレビで芸人がしていた話を脚色したり固有名詞を変えてしたり顔で語ったり、人の悪口を言いふらしたり、性的関係を持つことにだらしなかったり…
そんな誰もが持っているかもしれない「アレ」な部分をインターネット上でまき散らしてしまう人達がいる、その結果として本書が完成したのだろう。

「アレ」な部分は、誰もが持ち合わせている。それをどういう風に消化していくのかがこれからのネットリテラシーなんじゃないだろうか。
これからも「アレな人」というのはたくさん出てくることは火を見るより明らかなので、セブ山さんにはどんどん記事を書いていって欲しいなと思う。

そんなわけで、『インターネット文化人類学』、各家庭に一冊くらいあってもいいんじゃないかな。