ただ眠いんだ

"人生はコメディだ!"

秋の夜長に『竜と勇者と配達人』

わたくしはてなブログにて細々とブログを書いております、勤め人の廻間合と申します…

はてなブログ今週のお題は「読書の秋」だ。読書と言えば小説!なんて向きもあるけれど、オススメの小説についてはもう既に語ってしまったので、今回はマンガ『竜と勇者と配達人』を紹介したいと思う。

www.tonarinoyj.jp

掲載期間は限られているものの、「となりのヤングジャンプ」でも読めますよー

 

中世ヨーロッパ×ファンタジー×お役所

『竜と勇者と配達人』はタイトルからもわかるとおり(?)中世欧州的ファンタジーマンガである。中世ヨーロッパでファンタジーと言えば剣と魔法である。勇者がパーティーを組んで、魔法使いがいて、戦士がいて…詰まるところドラゴンクエストだ。
ドラクエ的なマンガはそれこそ掃いて捨てるほど存在しているはずだ。何作か心当たりはあるし、そういうライトノベルだってたくさんあるはずだ。

しかし、『竜と勇者と配達人』にはそこに「近代化」というファクターが追加されている。それがこのマンガを特徴付ける最大のポイントだ。

主人公は郵便配達人

竜と勇者と…といいながら、このマンガの主人公は竜でも勇者でもない。皇帝都市アイダツィヒの駅逓局(えきていきょく)に務めるハーフエルフの「吉田」である。

 
中世欧州ファンタジーにありがちな「剣と魔法」はこの世界にも存在している。
剣と魔法と言えば力の象徴であり、力を手にした物が世界を支配する…そんな時代は終わりつつあり、法による秩序が世界を治める新たな時代が到来しつつある…そんな時代と時代がせめぎ合っているのがアイダツィヒなのだ。
そんなアイダツィヒの配達員、それが吉田であり、この物語の主人公なのだ!

…「なのだ!」などと言ってみたものの、あまり引きがない設定である。たぶん、多くの人は勇者と竜が戦う方のファンタジーを好むような気がする。

対立・融合する文化

じゃあ、なぜに僕がこの作品を推しているのかというと、それはひとえに「対立・融合する文化」がおもしろいからだ。
現代では当たり前になっているような制度・仕組みが、剣と魔法の世界に生きてきた人々にはどう捉えられるのか?そして嫌が応にも融合していく文化によって、ファンタジーの裏側で一体なにが起こるのか?
そんなことを真面目にやっているのが『竜と勇者と配達人』なのである。

 例えば、無料公開されている第二話では、勇者一行が竜を倒しに行く…というストーリーが描かれている。多くのファンタジー漫画で描かれてきて、きっとこれからも描かれ続けるストーリーだ。
しかし、『竜と勇者と…』が他と違うのは、勇者ご一行があまりにも大人数だという点だ。勇者や戦士、魔術師なんかはもちろんのこと、武器の搬送をする人、刀鍛冶、経験値記録官…竜を倒したあとには、竜から採れる素材をめぐって商人達がせめぎ合う…

ファンタジー界のお約束に対して「確かによく考えてみればそうなるよね」という視点を持ち込み、それを下っ端お役人視点で描いていく。それこそが『竜と勇者と配達人』を魅力的な作品にしている。

『空想科学読本』と似ている気がする

ここまで書いてふと気がついた。『竜と勇者と配達人』は『空想科学読本』に似ている。
特撮やアニメの世界を科学的に追究していった空想科学読本と、中世ファンタジーを突き詰めて考えていった『竜と勇者と配達人』は方法論こそ違えど、どちらも題材を否定するのではなく、新しい境地へと踏み出している。そして題材への愛に満ちあふれている。

そんな中世ヨーロッパファンタジーの新境地といっても過言ではない…『竜と勇者と配達人』、秋の夜長にいかがでしょーか。