ただ眠いんだ

When I'm in the middle of a dream...

自分の青春はよくわからないので、伊坂幸太郎の青春小説「砂漠」について

特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE

http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/pdmagazine

なんでも今回のはてなブログお題は特別版らしく、小学館とのコラボで「青春の一冊」というお題なんだそうだ。
自分の青春に関して語れることはほぼないので、一番好きな青春小説である、伊坂幸太郎の「砂漠」という本について書こうと思う。
発行元が小学館じゃないけれど、好きなんだからしょうがない。

伊坂幸太郎の青春群像劇

伊坂幸太郎はあまり青春とか恋愛について書いていない気がする。恋愛関係にある男女が描かれても、その恋愛は中心に据えられることがない。
ほぼ唯一の青春小説であるこの「砂漠」ですらも、青春小説にありがちな恋愛をストレートに書いているようなものではない。主人公の恋愛だってさらっと流されてしまう。

それでもこの物語を読み終わったあとに「青春小説だなあ」としみじみ感じるのは、西嶋という青臭いキャラクターが登場するからである。

強烈なインパクトを残す西嶋

「そうやって、賢いフリして、なにが楽しいんですか。この国の大半の人間たちはね、馬鹿を見ることを恐れて、何にもしないじゃないですか。馬鹿を見ることを死ぬほど恐れてる、馬鹿ばっかりですよ」
伊坂幸太郎(2010)『砂漠』p108 新潮社

青臭い。普通の会話の中でこのセリフが出てきたとしても鼻白む。
だけど、西嶋はこれを合コンで言ってしまっている。酒の勢いといえど。
西嶋はこういうタイプの人間で、なおかつ外見もいけてないという。青春からはおそらく最も遠い人物だ。

「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」
伊坂幸太郎(2010)『砂漠』p18 新潮社

そして西嶋のこの言葉がこの小説のテーマになってくる。

「砂漠」は正しい意味での青春小説である

青春小説というのは「モラトリアムでしか体験できない」ことを主軸とした小説のことを指すらしい。
じゃあ、モラトリアムになにをするべきか、と言ったら「無意味なことをすべき」なのだ。
しかし大体の青春小説はスポーツだったり吹奏楽だったり…まったくと言っていいほど無意味なことをしない。そもそもが恋愛を主軸に据えていたりする。

砂漠の主人公達も、別にすべて無意味なことをして過ごしているわけではないけれど、かなり無意味なことをしている。

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名前に北村・西嶋・南・東堂と名前に東西南北が含まれると言う理由で麻雀をしたり、その中でも西嶋は「平和」で上がることのみを目指していたり。
かなり無意味なのことをしているのだ。

伊坂幸太郎の作品に欠かせない、悪との戦いという側面はあるにせよ、それでも無意味な時間が流れていく。
これこそ青春小説のあるべき姿なんじゃないだろうか。

砂漠に雪は降るか?

作品中に、一般社会は砂漠、学生生活は期間限定のオアシスである…という比喩がある。
オアシスを出て行く人々に幸多からんことを。

などと就職浪人が言ってみるのでした。

あと、鳩麦さんのキャラさいこー!